これまで、ほとんど色として意識してこなかった黄色。というよりも、どちらかというと嫌いで、見ると不安感がふっと心をよぎる色だった黄色が今年は着たくて仕方がなくて、コート、ジャケット、ワンピースと、たて続けに三枚買ってしまいました。

私たち人類は太古の昔から、色の中に生きているため、多くの人が其々の色に対して、同じようなイメージを持っています。例えば、暖色。オレンジや黄色、赤を見るとき、私たちの多くは、炎や太陽をイメージする人が多く、温かい色というイメージをもっています。そこから派生して、例えばオレンジは、温かいー＞人とのぬくもり―＞人との和であったり、フレッシュなオレンジの香りなどとも相まって、楽観的、期待感などという心理とむすびついていきます。そのように多くの人が持つ色彩の心理を分母の色彩と呼びます。そのほかに、私たちが生きてくる途上で、獲得する個々人の色に対するイメージももちろんあります。例えば幼いころ心の基地になってくれていた大好きな祖母がいつも黄色のエプロンをしていたら、その人にとって黄色が癒しのイメージにつながっていったり。。個々の人間が持っているそういった心理を分子の色彩と呼びます。

また、私たちの意識には普段生活している時の意識である顕在意識と、その下に広がる膨大な広さの潜在意識があります。私たちはこれまでの記憶やそれに伴う感情を、五感と共に潜在意識の中にテータ化しています。だから好きな色、嫌いな色にもその人の心理が表れていたりするんですよね。例えば、青が嫌いな人がいる。その心をひも解いて行ったら、実はその人は小さいころ、色々な日用品を妹のものと区別するために、お姉ちゃんである自分は青色、妹はピンクと決められていた。そうすると、知らず知らずのうちにその人にとって青は、「お姉ちゃんとしてしっかりしなければいけない、我慢しなければならない」という心理に結び付き、だからこそ、青が嫌いだったのだ、そして人生全般においてその思いが、自分を生きずらくさせていたという事に気づいたりします。私の学んだ、色彩心理学者として日本で草分け的な存在である末永先生の確立したアートセラピーは、表現する色に現れるその人の深層心理を御本人が気づいていく事によって、より自律的に、心豊かに、生きていくことを私達カウンセラーがフォローしくものなんですよね。

と長くなってしまいましたが、私にとっての黄色は実は自分の幼いころ、あっけらかんと自分自身をてらいなく表現し、のびやかに生きていたイメージと結びつきます。

自分の人生の様々な想い出に伴う感情を色票で貼っていき、そのあとに色々な設問に答えていくカラーヒストリーという作業があるのですが、それを行うと、自分のそれぞれの色に対するイメージとどうしてそんなイメージを持つようになったか、ひいては自分の考え方の癖や、価値観が見えてきて、更にはどうして自分がこんなに生きづらかったのか、という事に対する答えが見えてきたりするんですよね。

私は大人になってからの自分を表す色は常に濃紺。そしてなぜかいつもその真ん中に大嫌いな黄色を塗りたくなる。「~でなければ許されない。期待に沿う自分でなければ自分の価値はない」（青）という思いにがんじがらめになっていて、自分のありのままの思い(黄色）をないがしろにしていたと気づいたのは、アートセラピーを学び始めての事でした。それがわかっても、実はなかなか手にしたいと思っていなかった黄色。その黄色を今年は着たくて仕方がない。手に取って身につけたくて仕方がない(笑)　これは実は私にとってものすごく大きな出来事、嬉しい出来事なんですよね。その心理は。。。

皆様にも、今とても気になる色、嫌いな色や好きな色が、きっとあると思いますが、そこに皆様の心理が表れています。どうしてなんだろう？　そんなことを考えることが、きっとご自身の本当の思いや苦しさの根源への気づきに結び付き、それによって人生が大きく変化していくこともあります。

色って本当に不思議！！
色は無言で仕事をしています。是非皆様も、色とお友達になって自分の本当の思いを感じてみてください。